熱はどこから来て、どこへ行くのか? ― 猛暑の物理を考える

今年の日本の夏は、観測史上に残る猛暑となった。
昼間のアスファルトは容赦なく熱を吸い込み、夜になっても冷めきらない。

この現象の背後には、物理学の基本法則がある。

地面や建物は、日中に太陽から受け取ったエネルギーを吸収する。

その温度上昇は、比熱(物質1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギー)と、熱容量(物体全体がどれだけ熱を蓄えられるか)によって決まる。

コンクリートやアスファルトは比熱が低くても熱伝導率が高く、日中の熱をすばやく蓄えてしまう。さらに熱容量が大きいため、夜になってもゆっくりと放出し続ける。その結果、気温は下がらず、熱帯夜が続くことになる。

これは単なる「暑さ」ではなく、エネルギー保存則が示す必然でもある。受け取った熱は、どこかに逃げるか、何かを温めるかしかない。

一方、木陰や緑地は、水分の蒸発潜熱によって熱エネルギーを空気の状態変化に使い、気温の上昇を抑えている。つまり、都市の構造や素材の選び方が、そのまま夜の気温を決めているのだ。


あなたへの問い

「もしあなたが都市の設計者なら、この熱の行方をどう変えますか?」

素材の比熱や熱容量を活かした舗装・建材の導入

緑化や水辺など蒸発潜熱を利用する環境設計

昼間の熱を夜に逃がす通風・放熱の仕組み

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